平成25年度 秋田県総合教育センター
支援班
研修員の研究の概要


1 山崎 泰明 日常生活での実践につながる安全指導プログラムの開発
−小学校高学年における危険予測・回避能力の育成を目指して−
概要  児童の安全・安心を脅かす問題が毎日のように起こっている現状から,これまで以上に安全への意識を高めるとともに,危険予測・回避能力の更なる向上が不可欠であると考える。そこで小学校高学年を対象とした安全指導プログラムを開発し,日常の指導に活用できるように教材パッケージを作成した。プログラムの実践を通して,児童自らが日常生活に潜む様々な危険を認知し,自他の安全に配慮して行動選択することを目指した。その結果,安全指導における一つの指導モデルを提案することができ,危険を予測したり回避したりすることに対する児童・保護者の意識が高まった。

2 佐藤 牧子 小学校高学年において,集団としての連帯意識を高める学級会モデルの作成
-保護者と連携した「勇気づけ」の言葉かけを通して-
概要  研究協力校A小学校には,仲間に対する連帯意識をあまりもつことができない児童が少なからずいる。そこで,自分が所属する集団の中でお互いによりよく関わろうとする力の育成を目指して,「勇気づけ」の言葉かけをする場面を取り入れた学級会モデルを作成し,高学年児童に実践した。さらに,保護者にも家庭において「勇気づけ」の言葉かけを行ってもらった。その取組を共有することで,保護者の意識に変容が見られ,児童の連帯意識の高まりにつながった。

3 柴田 緩子 特別支援学級における美術の造形活動を中心とした題材開発
−感覚に直接働きかけ,内面表現を促す取組−
概要  美術科の授業において,発想を広げるために言葉が重要な役割を担うことが多い。しかし,特別な支援を要する生徒たちは,言語を介した発想や,抽象的思考を苦手としていることがある。そこで,言語やイメージのみに頼るのではなく,具体物と直接かかわることが重要だと考え,五感を駆使してモチーフとかかわり,そこから生じた思いを表現に活かす題材開発を行った。実践を通して,生徒が自分の表現に自信をもつことができ,題材が有効であるという結果が得られた。それらの実践をまとめ,『自分らしさに出会える造形活動〜感覚に働きかける題材・授業実践集』を作成した。

4 神田 純一 特別支援学校高等部における就労を目指した職業教育の取組
−「デュアルシステム型現場実習の手引」の作成ー
概要  即戦力を求める企業と就労を目指した生徒のマッチングは,就労支援において重要である。実習しながらマッチングができ,生徒と企業の双方に利点があるとして注目されているのが,デュアルシステム型現場実習である。しかし,先行事例は少なく教員による理解も十分ではない。本研究では,実践校や受け入れ企業への調査を行い利点と課題を分析し,障害者職業センターの協力の下で指導方法について検討を行った。デュアルシステム型現場実習の取組による職業教育の充実を図ることを目的に,本研究を通して明らかになった効果的な指導方法について整理し,教員が活用するための「手引」としてまとめた。

5 目黒 恭子 特別支援学校高等部における「伝える力」を育てる授業モデルの開発
−解決志向の考え方を生かした話合い活動−
概要  知的障害特別支援学校高等部の進路学習において,豊かな社会生活,職業生活を送るために必要な「伝える力」の育成を目指し,解決志向の考え方を生かした話合い活動の授業モデルを開発した。進路学習における「伝える力」の観点を明らかにし,それに基づいた3つの指導コンセプトと手立てを設定し,PDCAサイクルに基づいて授業を行った。その結果,伝える場面に焦点を当てた話合い活動による課題解決の方法が,生徒の「伝える力」の育成に有効であることが分かった。また,解決志向の考え方を生かした手立てが生徒の意欲を高めることに有効であった。さらに,学習内容を実生活に生かすための視点を明らかにすることができた。





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